新任施設長がぶち当たる「判断する時」/介護福祉の人財成長のリアル
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業種
介護福祉施設
- 種別 レポート
施設長になる前、またはなりたての施設長が抱える不安のひとつに、「自分が判断する側になる」ことがあるのではないでしょうか。
施設長になる前は「いざとなったら施設長に聞けばいい」という気持ちがあったかもしれません。
それが、いざ自分が施設長になった時、判断に迷った場合に確認できる上司が近くにいなかったり、簡単に聞きに行けるような立場でなかったりするので、まずは施設長として判断を下さなければならない場面が増えてくることになります。
施設長としての判断力
介護現場の場合、判断を保留にするわけにはいきません。緊急対応を要する場面や、家族からのクレームに対応する場面などがあるので、施設長の肩にかかる重石は大きいと感じられるわけです。
まず、施設長業務というものに対して、そこに不安を感じることが多いのではないでしょうか。
施設長が施設の他の職員よりも的確な判断ができるひとつの要因は、経験です。困難な場面に直面したとしても、自身の長年の経験から、かつての対処方法を参考にすることで、適切な判断を下せるというわけです。
経験がまだ十分でない新任の施設長が、不安を抱くのは当然のことでしょう。
判断が遅い!?
適切な判断を下すことのできる材料としては、経験の他に、「軸」というものがあります。「判断軸」と呼ばれるものです。言い換えると、判断のための基準を明確に持っているかどうかです。
軸を持っている場合、判断に迷う場面において大いに参考になります。
AかBかで迷った場合、自分の持つ判断軸に近いほうを選ぶことができるようになるのです。
この判断軸が曖昧な施設長は、判断の場面に遭遇するたびに、この場合はどちらが正しいだろうか、なにか見落としはないだろうか、と考えなければならず、判断までに時間がかかりますし、下手をするとパニックになってしまいます。
判断軸がしっかりとしている施設長の場合は、ある意味判断の場面で開き直ることができるようになります。
この場面での正解は分からないが、自分の信念に従えばこちらが正しいと判断したので、こちらを選んだ、というようにです。
施設長も人間です。判断を誤る場面は少なからずあるでしょう。
肝心なことは、誤った判断だったとしても、何を基準に判断したかが明確になっていることです。
そこが明確であれば、あの時の判断基準はこうだったが、それは間違いだったので、次はこう判断しよう、と次に生かすことができるようになります。
判断基準が明確でない場合、いわばその場の思い付きで判断をしたことになるので、失敗しても次に生かすことができません。この違いは大きいものです。
初めて学ぶ施設長講座においては、判断の場面に備えるというテーマの講義はありませんが、6日間の講義は一つの軸に従って進められ、講義を受けることで自然とその軸が身につくような仕組みになっています。もちろん、軸というものは個人で異なるものを持つこともありますが、介護事業所の施設長として持つべき不変の軸というものもあります。それが、初めて学ぶ施設長講座では繰り返し伝えられ、自然と身につくようになっているのです。
悩んでいるのは自分一人ではない
施設長とは孤独な役割です。
施設長が職場から孤立しなければならないということではありません。職員との関係性は大いに良好なものを築くべきでしょう。
しかし、施設長は、どこかでその良好な関係性から一線を引かなければならないのも事実です。
なぜなら、仲の良い職員であったとしても、仕事上で誤った行動があれば厳しく指摘をしていかなければなりません。
施設長の役割は介護事業所の経営を良くするものですから、そのためには職員の望まない業務を課したり、人員配置などの面で忖度しない判断をしなければならない場面も出てきたりします。
そのような判断をすることが施設長の本意でなかったとしても、「本当はこんなことをしたくなかった」などと言い訳がましく説明するわけにもいきません。
もちろん、このような悩みは施設長に限らず、どのような立場でも起こるものです。
しかし、介護事業所においては、例えばリーダークラスである主任や、ユニットリーダーという立場であれば、このようなつらい立場にあったとしても、相談できる相手がいないわけではありません。
同じ立場のリーダーや、施設長に相談を持ち掛ければ、話を聞いてもらい、理解してもらうことができるでしょう。
しかしながら施設長という立場になると、たちまち相談できる相手が少なくなってしまうのです。
規模の大きい法人であれば、施設長を束ねるエリアマネージャーという立場があったり、同じ施設長という横並びの関係が継続されているかもしれません。
しかし、そのような環境を持つ法人はごくわずかで、基本的には施設長という立場はせいぜい一人か二人という場合が多いことでしょう。
仮に相談相手がいたとしても、同じ施設内にいるわけではありませんので、気軽に相談という形にもなりにくいのが現状ではないでしょうか。
同じ立場だから分かち合える
初めて学ぶ施設長講座の価値のひとつが、このような悩みを抱える施設長が集まり、お互いにコミュニケーションを取れることです。講座の中で悩みを打ち明けたり、場合によっては講座の枠を超えて連絡を取り合うなどすることで、悩みを打ち明けあえる関係にもなれるのです。
介護事業所の施設長は孤独ではない、同じ立場で分かり合える人がほかにも多くいると気づくと、すっと心が軽くなります。
実際、参加いただいた方からのコメントの中には、施設長が何に悩んでいるのか、どういう仕事をしているのか、他法人の実態を知ることができたのは大きな価値があった、と伝えられてきた方も複数おられました。
皆さんの仕事は大変な役割ですが、悩んでいるのは一人ではありません。
そのことを肌で実感できる場としても、本講座を活用してみてはどうでしょうか。
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